お題、お『鬼と鍛錬』まさかの後編

「シュッ!」
「ヒビキさん!」
「武者童子か久しぶりだな…少年、大丈夫か?」


「はい、でもヒビキさんどうしてここに?」
「いいから。とりあえず俺が武者童子と戦うから少年は土蜘蛛の方、任せていいか?」
「…はい」


「よし。大丈夫だ、これまでの事を思い出せば出来る。いいな?」
「はい」
「よし、行くぞ!」


それぞれ武者童子、土蜘蛛と戦うヒビキとアユム。
「アユム!思い出せ!俺と一緒に鍛えた日の事を!」
「はい!」


土蜘蛛のバランスを崩し上に載るアユム。
武者童子の武器を弾きバランスを崩すヒビキ。
二人ともそれぞれの相手に音撃鼓を押し込む!
「いくぞ、アユム!」


そして二人同時に
「火炎連打の型!ハァ〜ッ、ハァッ!」
そして爆散する武者童子と土蜘蛛。



森で音撃棒の棒を拾っているアユム。
「まぁ、今回はちょっと音撃管の使い方は間違えたかもな」
「すいません、ちゃんとディスクアニマル相手に練習したんですけど…」


「動き回るディスクアニマル相手に練習するのは良いけど、場所によってはいろんな障害物があるからな、その辺も考えていかないと」
「はい…」


「まぁ、あれだ今度はイブキじゃなくてアキラの方に音撃管の使い方教わったらどうだ?厳しさがある分アキラの方が教え方が上手いかもしれないぞ。ん?待てよ、もう鬼になったんだからあきらって呼ぶより…」



その頃、たちばなでみどりから新型ディスクアニマルの説明を受けているイブキ、あきら、ザンキ、トドロキ。
「でね、今回のディスクアニマルにはね…」
「ヘックシュン!」


「どうしたイブキ?風邪か?」
「イブキさん、体調管理不足ですよ」
「うーん、体調は良いハズなんですけど…」
「気をつけた方が良いっすよイブキさん。今年の風邪は…」


そこに日菜佳がやってきて…
「しつこい、ってのが決まり文句ですからねぇ」
「あぁ、ちょっと!ヒドいっすよ日菜佳さん!自分が言おうとしてたのに…」


勢地郎もやってきて
「風邪じゃなかったら、誰かが噂してるのかもねぇ」
「そんなんでくしゃみでますかねぇ…」
頭をかしげるイブキ



帰りのフェリーに乗っているアユムとヒビキ。
「まぁ、少年さ、今回は武者童子なんかも出ちゃったし、卒業試験は合格出せないけどそんなに急ぐ事ないんじゃないか?ゆっくりさ、ゆっくり鬼になれば良いんだよ」
「……」


「ゆっくり歩かなきゃ、見えないものだってあると思うぞ」
「ヒビキさん…」
「俺は…少年に色んなものを見て欲しいんだ。で、今の少年が今の少年なりに感じられる事を大切にして欲しいんだよ」


「ハイ…ん?」
その時、フェリーの柵に身を乗り出して海を見ていた子供が「おさかな〜おさかな〜」と言って海に落ちそうになっているのを見つけるアユム。


「あっ!」
そしてヒビキより先に動いてその子供を助けるアユム。
「大丈夫?」
そこに子供の親が来て、何事もなかった様に連れていく。
「そういや初めてアユムとあったのも今みたいな感じだったな」


「後であの人から聞いた時はビックリしました」
「まぁ、その後にもう一回会って、アユムがあの時の少年だったって知るまでには大分あとだったけどな」
「ハイ…アレ?今僕の名前呼んでくれました?」
「ん?そうか?」


「呼んでくれましたって!さっきも呼んでくれましたよね!?もう一回呼んで呼んでくださいよ!ヒビキさん!」
「まぁ、後でなシュッ!」
「ちょっ、ヒビキさぁ〜ん!」