お題、う

仕事をクビになった。
いや、正確に言うならば大口取引先の倒産による連鎖倒産ってやつで会社がなくなった。


そんな事もあって家ダラダラしていると甥っ子が遊びに来た。
するとウルトラマンタロウのソフビを手に握っていた。
「勇太、お前懐かしいの持ってんなぁ。今は…なんだっけ?ウルトラマンゼロとかなんじゃないの?」


と僕が言うと勇太がポカーンという表情をしてる所に勇太の母の菜々、要は僕の姉がやってきた。
「何言ってんの?その人形あんたが昔遊んでたヤツでしょ!?勇太がさっき物置から引っ張り出してきたのよ」
と言われたので


「ウッソ!?」
と思ってソフビを良く見てみると確かに見覚えが、というか上半身がタロウなんだけど下半身がセブンになってたりする。
「そういや分解して遊んだっけ?なんて思ってたら上半身が外れてしまった」


「ウワッ!」と思っていると中から紙が。
なんだ?と思って見てみるとクレヨンで「うるとらまんになる」
と書いてあった。


そんな事思ってた頃もあったっけ、
なんて事があった数日後、新聞を読んでると新ウルトラマンの主役のオーディション開催という記事を見つけた……




まぁ、結果から言うと応募はしてみた。
してはみたものの当然の如く落ちた。
当たり前だ、演技経験も無ければお世辞にも格好良い容姿でもない、
性格だって前へ出る!って感じじゃないし……


と、思っていたら後日、新しい通知が!
科学特捜隊的なヤツの隊員役で出ませんか?というものだった。
僕にとっては又とない機会なので、もちろんOKさせて頂いた。


結局の所、ウルトラマンに僕がなる事は出来なかった。
でも、『ウルトラマンと僕』が一緒に戦う物語はここから始まるのだ。


今、僕はこの物語の続きが楽しみでしょうがない。