短期集中連載シリーズ ステファニーの憂鬱 戸籍謄本完結篇

その瞬間、父は昔学校の先生に言われた事を思い出した
「君の字はaとoの区別が難しいから書く時は気をつけてね」という言葉を、そう、父はステファニーと書いたつもりが戸籍謄本にはステフォニーとされてしまっていた。そして父はつぶやいた。
「あ、やべぇ・・・父さん字間違えちったかもしんねぇ・・・」と、そしてステファニーは
「え?なに?間違えちったの?それだけ?」と言った。父は
「そう、そんだけ!、むしろ父さんもビックリだ」と言った、そして二人は
「プッ、ハハハハ・・・」と緊張の糸が切れたように笑った。
ステファニーはいつもの癖で色々な事を妄想していたが、それは黙っておく事にした。
そして二人で笑っていると、いつからいたのか母が
「じゃあ逆にこれなんかどう?」と言って、近所のケーキ店モスタニカのショートケーキを手にしていた。ステファニーは、なにが逆になのか解らなかったが
「お母さんナイス!」と言って三人でケーキを食べる事にした。
食べながらステファニーは思った、
ステファニーだろうとステフォニーだろうと関係ない私は私なんだ、と・・・
思ったが、なにか少し釈然としなかったので右隣に居た父の腕をフォークで何度も何度も刺した。
父は断末魔の様な悲鳴を上げていたが、ステファニーは
「イチゴの赤と血の赤は少し似ているな・・・」と思った。
戸籍謄本篇 完
本当にたいした物じゃなくてゴメンナサイ